インコ

自立生活センター東大和

7月7日TRYプレイベントの感想@

高沼萌

 去る7月7日、台湾でおこなわれる障害者の自立を訴える野宿旅イベント・TRYのプレイベントがおこなわれた。そのイベントは、TRY本番前にメンバー同士の交流を深めるためと、TRYの練習の意味も込められたものでもある。日本の中心となってTRY活動をしているCIL・メインストリーム協会の所在地であり今回のイベントの舞台となった兵庫県に、はるばる東京から小日向さんとその介助の竹内さんと3人で参加してきた。
  イベントの内容は募金と温泉と野宿。CILでおこなう募金は初めてだったので、最初は緊張するかと思ったが大丈夫だった(笑)。声をあげていくとだんだん自分がTRYメンバーの一員であることがリアルに認識されたのと同時に、メンバーたちの心がひとつになったような錯覚も覚えた。自分にとってはほとんど初めて出会う名前もよく知らない人たちばかりなのに、不思議な感覚だった。そんな気持ちで募金は終わり、その後向かった温泉では初めて自分もお風呂に入りながらのお風呂介助をした。この場で初めて、イベント中障害者に対して特定の介助者が決まっていないということを知り、誰かれかまわず介助してされてのフリー体制だった。以前研修で学んだ「誰に介助に入っても自分の体の使い方は変わらない」ということを思い出しながら介助した。自分のこともおざなりにならないようにできる限りでサポートし合うのは、限りなく色々な意味での柔軟さが求められるので難しかったが、色々な障害の色々な人の介助ができるという点はサポートする側にとってもされる側にとってもなかなかない体験だし、楽しかった。お風呂後の食事は、スロープのない3段の段差がある飲食店に、何人かで車いすを持ち上げてお店に入った。バリアがあるから入らないのではなく、バリアだからあえて挑戦するのでもない、バリアをバリアと見なさないのだ。関西のメンバーたちの姿勢を見て、こういったナチュラルな考え方で物理的なバリアはかなりなくなるのではないか、と思った。夜の交流では、小日向さんの介助者の話では自分の考えの至らなさに少々ショックを受けたが、それ以外はとても楽しんだ。寝たい人は寝て、起きていたい人はずっと語り合っていた。
  この輪の中では「介助者」はいない。誰かが助けを必要としていたら自然に手を貸す、誰もが自由にやりたいことをやる、それを邪魔するバリアは取っ払ってしまえ。TRYとはこういうものなのであり、世界はそうあるべきだと思った。本当は難しくはない、他人の気持ちになるということは幼児にもわかるような単純で当たり前なことであるはずなのに、それができない世界がある。だからTRYするのだ。自分にとってTRYは、障害者交えた国際交流だとか自分の限界への挑戦とか普通じゃないところに最初は魅力を感じた。それから少しTRYを知って、障害者の権利と自立のための運動であるとなんとなく認識した。しかし、今回のイベントで本当の意味でのTRYというものがどういうものなのかが少しわかったような気がした。もちろんメンバーそれぞれのTRYは皆微妙に捉え方が違うはずだし違うからおもしろいのだが、その根底にある気持ちが同じであるから、わたしたちはTRYするのだと思う。


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